ギックリ腰・腰痛を取る
公開日:
:
施術者向け
前回「肩コリの取り方」について解説しました。
もう一つ当院のようなサロンで多い主訴は「腰痛」です。こちらについても解説していきます。
前回の肩コリと同様こちらでも「コリ物質」がカギとなります。一般的には筋肉、筋膜の張りや炎症、腰椎の変性だと言われますが、やはりそれだけが原因ではありません。
肩コリでは気の停滞がコリ物質に関わると言いましたが、腰の場合は「冷えやむくみ」による気血の停滞がコリ物質を生む大きな原因となります。冷えやむくみの塊が気血の流れを阻害しているのです。それによって筋肉が張る=腰痛となるのです。
また冷えやむくみは脚だけに存在するのではありません。お腹や骨盤の中にも冷えやむくみの塊があります。そして冷たく感じなくても奥にそれらを隠し持っている「隠れ冷えタイプ」も存在します。特に男性は筋肉量が多く表面の気血の流れがいいので、奥底に潜んでいる隠れ冷えの人は多いです。アスリートなどの運動疲労でも同じことが言えます。コリ物質を取る事でより筋肉疲労が取れるのです。コリ物質はどんな症状でも大事なファクターです。
これは単なる腰痛治療だけに留まりません。ヘルニアや椎骨の異常にも適応できます。
実際に患者さんで腰椎ヘルニアと分離症、脊柱管狭窄症(水前寺清子さんやみのもんたさんが手術をした症状)を併発してブロック注射でも痛みが引かないためフライトができず、講演会もできなかった人がいました。しかし3回の治療で痛みがなくなり、動けるようになり、今ではイタリアに仕事でフライトしても痛くなくなりました。
また別の患者さんで頸椎に異常があるため、毎年梅雨時期や気候が不安定な時は頭痛、嘔吐が止まらなくてロキソニンを一日10錠くらい服用する事があった人がいました。しかしその方も今では頭痛なども出なくなりました。
ヘルニアや椎骨の異常は治りません。しかしコリ物質を取って常に気血の流れが良くなれば筋肉や関節の動きが良くなり、痛みが出なくなるのです。
大事な事は常に気血の流れが良い身体にする事です
治療のポイント
どこの動きが制限されて痛みや張りが出ているのかを身体全体からイメージする事です。
この時陥りがちなのが、知識に身体に当てはめてしまう事です。前屈姿位が悪いから「起立筋、ハムが悪い」というように小さい目でしか見ない事です。
知識は絶対に大事です。知識がなければ生まれ持った天才の人以外は身体の事を本当にはわからないですし、良くもできないと思います。
しかし知識は一つのツールでしかないのです。知識を前面に出して知識にその方の身体を当てはめてしまうと、その人の身体の状態が本当には把握できないと思います。
知識を潜在的意識に留めておいて、それを基に目の前の身体の全体の状態をイメージするのです。そして施術をして良くなっていくイメージをする事です。
このイメージは知識が潜在的に存在していないと希望的観測のイメージ(思い込み)でしかなくなります。裏付けされたイメージではないのです。
そうする事で本当の悪い原因が見えてきますし、身体が変化する事で、新しく悪い所が見えてきます。
これはカイロやオステオパシーなどの施術でも言える事ではないかと思います。
コリ物質が存在する場所
・股関節
大腿骨と腸骨稜の中間で筋肉の隙間。また臀筋と腸骨稜の隙間にあります。足先や腰に響く事が多々あります。またここのコリ物質は内臓も虚弱にしたり冷やしたりしますので、内臓を強くするポイントでもあります。
・大腿周囲
大腿陰経(内側)半腱半膜張筋の隙間に棒のような塊があります。これによって腸骨の動きが制限されます。また上半身へ戻るリンパ管が阻害されるため腰痛、下腿のむくみ冷えが助長されるのです。ふくらはぎがパンパンな人はここも取らないと意味がありません。
膝窩上部のハムストリングの隙間にピンポン玉くらいのコリ物質があります。また大腿筋膜張筋健の周りにもこびりついています。アスリート系の疲労は膝にコリ物質が溜まって腰痛になるパターンが多いです。
・腰椎
腰椎の椎間や棘突起の間に存在します。それらをアプローチするとお腹や骨盤内部に響く事もあります。起立筋もこれにより硬くなってしまいます。
・足首回り
運動系の方はここのコリ物質のせいで足関節の動きが悪くなり膝→腰と影響が出ます。
冷え虚弱の方は生理不順、生理痛がひどいなど生殖器系の原因がここにあります。
・腹部
冷えの棒のような塊があります。腰に響く事もあります。これにより腸腰筋がほぐれます。
・帯脈の存在
経絡で帯脈という奇経があります。側腹部を通る経絡で、この経絡が侵されると腰まわりに水が溜まっているような張り、痛みがでます。
そして肉体的には腸骨稜に粘っこいコリ物質が存在します。それが背中の筋肉と腸骨稜をガッチリ固めてしまうため骨盤が動かなくなり、ギックリ腰や腰痛になるのです。
関連記事
-
背中の中心が凝って気持ち悪い 40代女性 ~背骨がコル事を理解する~
【症状、これまでの経過】 この3ヵ月ほど、背中の真ん中に一日中非常に強いコリ感を感じる。どんな
-
パターンで施術をしない ~思慮深く考えられる施術者が技術力のある施術者~
今日は「本当に技術を身につけたい人のための少人数・徹底指導の技術スクール コリトリスクール第57回で
-
本格的な冬になるこの時期の症状で気を付ける事
暖かかった11月のせいで体が不調になる やっと気温が下がり始めて本格的な冬到来を向かえそうで
-
【筋トレ至上主義嫌いなんです】筋肉を鍛える事より大事な事
使える筋肉というのは鍛えるだけじゃダメ 前回のコラムでアナウンスした動画の内容に関係する事で
-
スクール生の症例実習 ~背中を痛めて動けない人~
本当に技術を身に着けたい人のための少人数、徹底指導のコリトリスクール 3期生 <コリトリスクール>
新着記事
-
【実演動画有】2回の治療で治癒した五十肩(肩関節周囲炎)の解説と治療法の実演
実際に来院して治癒した半年動かせなかった五十肩(肩関節周囲炎)の原因個所を解説します。そしてアプロ
-
マッサージでほぐれないコリの正体と新しいほぐし方の理論3つ
この記事ではマッサージの様な筋肉を揉んだり押してもほぐれないコリや痛み、または何十年と付き合ってい
-
【動画有】仰向けで癒着を潰せばガチガチの肩上部(肩井)の肩こりはほぐれます
鉄の様に固まった肩上部の肩こりは筋肉を揉むのではなく仰向けで筋膜や頚椎の癒着を潰せばほぐれます
-
【ギックリ腰治療動画】寝返りや靴を履く事が出来ない腰痛を3Dストレッチで解消
酷い腰痛やギックリ腰の原因の多くは関節の連動性の欠如です。今回はその関節の連動性を戻す治療で痛みが
-
【動画有】後頭下筋群をほぐすには骨と筋膜の癒着を指圧で狙え
頭の付け根のコリをほぐすにはうつ伏せよりも仰向けです。また、反対の目の方向に押す等圧の方向を決めて
PREV :
肩コリを取る
NEXT :
肩や肩甲骨周りのコリ感や頭痛を上肢から取る