頭蓋骨へのアプローチの特徴 ~ポイントは硬膜と小後頭直筋や縫合と固有受容器~
今回は当方の頭蓋骨へのアプローチの特徴をお伝えします。大きく2つのポイントがあります。
1 硬膜に存在するリンパや血液の流れを良くする
・骨から剥がすという考え
・小後頭直筋と硬膜との関係性
・縫合を緩める(蝶形骨の重要性)
2 固有受容器が多く存在する後頭下筋群の改善
1 硬膜のリンパや血液の流れを考える
脳は髄液という液体の中で保護されています。そして脳と髄液は硬膜という膜で覆われています。硬膜は頭蓋骨の奥にあります。
実は脳へはリンパは流れていないのですが、頭皮側からリンパ管が頭蓋骨を通り抜けて硬膜にも張り巡らされてリンパが流れているのです。また硬膜には血液も循環しています。つまりこの硬膜のリンパや血液の流れが悪いとむくんだり拘縮したりします。そうすると包み込んでいる髄液や脳にも何らかの悪影響が出ます。ですから硬膜のリンパや血液の流れを良くする事によって脳の健康が保たれて肩こりや頭痛、慢性疲労等様々な症状を改善する手助けとなるのです。
Visible Bodyより
Atlas2020より
・骨から剥がすという考え
硬膜の循環を良くするための方法の一つが頭蓋骨に付着する筋肉や筋膜、皮下組織を剥がす事です。
頭蓋骨に限らず多くのアプローチが筋腹や筋膜の覆っている所をフォーカスしています。特に筋膜に対しては筋肉を覆っている「膜の歪み」しか考えていません。しかし、筋膜は筋肉を覆うだけではなく、様々な所で筋肉の間を侵入して骨に付着しています。その骨に付着している部分が筋の収縮だったり血液やリンパの流れの不良によってストレスが掛かって強い痛みやコリを引き起こすのです。これは筋肉にも同じ事が言えます。筋肉が一番痛みやコリを発生している箇所は骨に付着している起止停止部なのです。
それは頭蓋骨周囲でも同じです。その筋膜や筋肉の付着している頭蓋骨が固まってしまうのです。また頭蓋骨周囲の場合は頭蓋骨に付着している頭皮も加味されます。それらの頭蓋骨への過度な癒着は接している硬膜へも強いストレスを与えます。そして脳にもストレスが与えられるので肩こり、慢性疲労、自律神経失調症等を助長する原因にも成り得るのです。
・硬膜と小後頭直筋との関係性
硬膜は頭蓋骨の中にあると言いました。しかし、硬膜は頭蓋骨から下に脊髄を覆う膜となって背骨に繋がっています。そしてその硬膜はある部分で筋肉と非常に密接に繋がっているのです。それは後頭下筋群の「小後頭直筋」です。
下記の画像を見てもらうと解りますが、青く色がついている所が硬膜です。背骨の中を通っています。この硬膜は頭蓋骨の真下で白く塗られている靭帯と接しています。そしてその靭帯は小後頭直筋と接しているのです。つまり小後頭直筋は靭帯を介して脳を覆う硬膜と繋がっているのです。ですからこの小後頭直筋が拘縮すると硬膜にも非常に強いストレスが与えられるので頭蓋骨だけではなく、この小後頭直筋もアプローチする必要があるのです
Visible Bodyより
・縫合を剥がす
頭蓋骨は22個の骨で出来上がっています。それらは結合組織という硬い組織で繋ぎ合わさってします。それを縫合と言います。この繋ぎ目も血液やリンパの流れが悪いとむくんだり癒着が強くなったりします。そうすると頭蓋骨が締め付けられるのでこれもまた脳への悪影響が出ます。
下記の画像をご覧ください。青く塗られた骨は蝶形骨と言う骨です。特に蝶形骨はこめかみより少し後ろにあるのですが、目の後ろを突っ切った骨です。この骨の目の後ろには5ミリもない穴や隙間があります。その隙間や穴に目の大事な神経や血管が沢山縫うようにして通っているのです。ですから蝶形骨の縫合が癒着などで固まってしまうと目の疲労を助長してしまう事も有り得ます。
この様に大事な縫合を正常にほぐしてあげる事が重要なのです。
Visible Bodyより
2 固有受容器が多い後頭下筋群から硬膜へのアプローチ
後頭下筋群には固有受容器なるものが他の筋肉に比べて圧倒的に多く存在しています。固有受容器とは身体のバランスや力加減を調整する組織の事です。この固有受容器が正常に機能していないとバランス感覚がおかしくなって筋肉や腱、骨格に負荷が掛かってしまったり、筋肉などに指令を出す脳も疲労してしまいます。ですから後頭下筋群は小さい筋肉ですが、常にバランス良くほぐれている必要があるのです。
この様にとても大事な後頭下筋群をアプローチする事で単なる癒しのマッサージ以上の効果があります。
これらを踏まえた頭蓋骨へのアプローチのセミナーとマスターコースを開催してます。興味がある方はご参加ください。
5月以降も開催予定です。まだ詳しい日程は決めておりませんので、もし5月以降でご希望の方は直接メールでお問い合わせください。
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