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コンサートの本番中に指が動かなくなった 20代男性

公開日: : 施術者向け, 症例・お客様の声

当方は院内施術以外にも様々な仕事を請け負っています。その一つとしてコンサートの全国ツアーに帯同し、アーティストをケアするトレーナー業も行っています。その時の症例です。

 

以前行われたあるバンドの全国ツアーでの事。本番前に身体を調整をしてステージに送り出すのですが、その日も無事に送り出し、楽屋で一時の休憩をしていました。すると、マネージャーさんから連絡が入りました。

「ベーシストの指が動かなくなったようなので、なんとかしてもらえますか?」

本番が始まって演奏していたら指が動かなくなったようです。

このバンドは若者に人気のバンドで、たくさんの曲がドラマやCMにタイアップとして使われ、老若男女問わず一度は聞いたことがある有名なバンドです。

ですので全国ツアーの規模は大きく、公演数が多いため身体への疲労はかなりのものでした。この時も全国ツアーの終盤にかかっていたので腕にかなりの疲労があったのです。

ただ一つ断わっておくと、このバンドはボーカルとドラム、ベーシストの3ピースバンドなのですが、僕が施術を行っていたのはボーカルとドラムのみでした。ベーシストは人に触られるのが嫌いという事で、僕は一度も施術を行っていなかったのです。だから身体の疲労が抜け切れていなかったのだろうと思います。

 

さてさて本題。連絡を受けたのですが、本番は始まってしまっています。控室に戻ってくるわけにはいきません。ですので、ステージの袖で立ったまま施術を行うことになりました。しかしコンサートを何分も中断するわけにはいかないので、曲が変わる間のステージが暗転している間にステージ袖で行うのです。

その時間はものの3~40秒。しかも本人が自分の立ち位置に戻る時間も考えたら、実質施術が出来る時間はほんの20秒です。その間に動けるようにせねばなりません。

極力移動時間を短くして施術時間を確保するために、ステージの袖ギリギリに立って待ちます。そこからは観客席が丸見えです。ステージの上というのは案外一人一人の顔がはっきりと見えるのです。こんな雰囲気で歌っているのだと感心したものです。もう自分もステージに上がっているのではと勘違いしてしまうほどの場所です。違う意味で緊張が高まります。

 

そしていざステージが暗転。本人が駆け足でステージ袖に。僕が施術。20秒後、スタッフに促されて本人が再度自分の立ち位置へ。照明が付く。。。

無事に楽曲がスタートしました。軽快で胸に響き渡るベースの音がします。その音色を聞き、ほっと一息ついて僕は控室に戻りました。

 

治療ポイント

前腕の筋肉や骨の隙間にアプローチしました。特にベースは人差し指と中指の負担が多いです。その二本を形成する筋肉の周囲の隙間が特に集中します。

中医学では痛みやコリが発生してしまうのに法則があります。

「不通則痛(通らなくなると痛む)」

これは痛み以外にも神経痛のような状態もそうですし、今回のように気血が通らなくなって動かなくもなってしまうのです。ですので、通せんぼをしている原因をアプローチするのです。それは目の前の身体からしかわかりません。またこの原因は筋肉と筋肉の隙間や筋肉の裏側にあります。それを取ってあげれば栄養されて動くようになるのです。大事なのは筋肉ではありません。筋肉の隙間です。

また、施術効果を出すのにとても重要な要素があります。それは「どのようにしたら良くなるのかをビジョンとしてイメージできる事」です。どういう事かというと、施術を施す前にその訴えている症状を解消する手順が頭の中で既に出来上がっているという事です。

施術はただ闇雲にやって効果が出ることはありません。自分の中で良くなるイメージが沸かずに、どこかで習ったことを単にやっただけでは効果は半分も出ません。技術力というのをそこを履き違えている人が多くいます。聞いた、習った、で習得したわけではないのです。

この集大成が今回の症例の様に20秒で施術効果を出す事に繋がります。

 

 

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