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取れない肩こりには 〜もみほぐしや骨格調整とは根本的に違う身体の見方〜 

公開日: : 最終更新日:2016/12/28 健康コラム, 施術者向け

当院の患者さんで当初にはこのような症状の方がいます。

日頃から肩こりが辛く、5〜6年前からそれがひどくなると激しい頭痛が起こり、胸がムカムカして嘔吐してしまう。当院に初めて来院した時も待合室に現れた早々、トイレに駆け込み嘔吐してしまっていました。

 

治療と経過

一週間くらい前から胸の不快感や頭痛が起こり出し、昔から行っていた所に施術を受けたのですが一向に変わらなかったそうで当院を紹介してもらったようです。問診の時にもみぞおち付近の不快感を訴えていて、顔も精気が失われている状態でした。

 

手による手技のみで治療しました。その結果、頭痛と胸のムカムカが治まりました

翌週に来院時は初診時と違い、顔が活き活きしていて笑顔が出ていました。前回の治療以降、頭痛ムカムカ感は全く無くなっていて、吐く事もちろんなくなったそうです

二度目の治療からは既にメンテナンスに入りました。頭痛や胸のムカムカが出なくなるのはもちろん、肩こりがほぼ出なくなるようにするメンテナンスです。

最初の3〜4回は2週間に一度来てもらっていましたが、肩こりもほとんど感じなくなったので、1〜2ヶ月に一回のメンテナンスに来ています

 

この方は40代女性で大きな会社の部下をまとめるキャリアウーマンです。今まで知り合いの有名人や社長さん、スポーツ選手等のあらゆるコネクションを使っていい治療院を紹介してもらい、この不調を治そうとしていましたが全然ダメだったそうです。中には何冊も本を出している先生やこの業界では誰もが聞いたことある先生にも治療してもらったそうです。

だからもう諦めていて、いつも頭痛や胸の不快感が起りだすと、仕事も手を抜けないので死にたい気持ちになっていたそうです。だから本当にありがたい、人生が前向きになったと言っていました。

このような言葉を聞ける時は、唯一この仕事をやってて良かったかなと思える時です。

 

 

この患者さんの様に、程度がひどい肩こりの方が当院に多くお見えになります。うちで継続的に来ている方の9割9分がどこに行っても良くならなくて紹介してもらったという方達です。

このような方達に効果があるのは、他の手技療法と根本的に身体の見方とアプローチが違うからです。

 

当方は人間の身体を悪くする原因を表裏という概念で見ています。そうやって身体を診る時、筋骨のバランス神経などの解剖学では見抜けなかった原因が見えてきます。

表裏とは人間の身体の深さです。これは中国医学にある概念です。

中国医学では人間の身体を体表から身体の奥に向かって「皮膚→筋肉→経絡→骨→腑→臓」という順で存在しています。経絡とは気血の流れる道。腑とは胆、小腸、胃、大腸、膀胱、心包(心臓を包む袋)の事です。臓とは肝、心、脾、肺、腎、三焦(臓腑が存在する大まかな範囲)の事です。

症状を引き起こす原因のものが臓に向かうほど「邪が裏(り)に入る」と言います。そして臓腑まで達すると内臓まで異常が起こるのです。

 

つまり肩こりの原因となる気血の停滞(当方ではコリ物質と言っていますその強度、年数等によって先程の皮膚〜臓と同じく、その存在する深さが変わるのです。決してコリ物質が全て同じ深さにあるのではありませんまた症状がひどいほど浅い所と深い所と様々な深度にコリ物質存在し、何層にも複雑化してしまうのです。それは筋肉よりも奥にも存在します。

そのコリ物質がコリ感を出すのです。決してコリは筋肉に存在するのではありません。筋肉程度に存在するのは「張り」という程度の存在で、筋肉を揉んだり骨格を調整してバランスを均等にするだけでも十分に取れます。しかし、筋肉より奥に本当のコリは存在するのです。

 

これを西洋医学的な概念だけで見てしまうと、筋肉より深い所(経絡〜臓腑)までのコリ物質を見つけたり、コリが深さの違う何層にもなっているという状態を認識できません。そのため筋肉をほぐすのみに留まり、お客さんが辛いと思っていることを施術者は理解できず、「コリ感はその人の感受性次第だからしょうがないですね」、「骨格のバランスが整っているからあなたは健康体です」と決めつけてしまい、一定以上の効果はないのです。

 

 

先程の症例の方もアプローチは筋肉よりも奥でした。

主なアプローチの場所は

頚椎の横突起の周囲、みぞおちの肋骨の裏側、脛骨と腓腹筋との間で脛骨の縁、僧帽筋の裏側

これらの場所に筋肉の隙間から優しく指を入れていくと、グミのような感触の物体が触れます。これらが肩こりを引き起こし、頭痛や嘔吐など内臓まで犯していた原因のコリ物質なのです。

これらを除去していくと、奥からまたグミのような感触が現れます。これがコリ物質の層になっている状態です。表層にあるコリ物質を除去したためにそれ以前から存在する古いコリ物質が現れるのです。そして新しく現れたコリ物質を除去するとまた奥から現れます。

これを繰り返していくのです。決して骨格調整やもみほぐしのように一度のアプローチで終わりではありません。変化していく身体をリアルタイムで追いかけるのです。もちろんその人の刺激量などは考慮します。しかしそうやって身体に抱え込んだ何層ものコリ物質を除去することで今まで取れなかったコリや痛み、様々な症状が取れていくのです。

 

 

僕も以前は筋骨格を徹底的に考える人でした。しかし、このように身体を診るようになって施術の効果が何倍にもなりました。特に不定愁訴にはこの身体の見方がとてもマッチしています。

今、4年目を迎える治療院SHINは立ち上げから初回割などの値引きや集客のための広告費も掛けずに、紹介だけで予約が埋まるほどになりました。こんなに皆さんから信頼されているのはこの考え方のおかげです。そして人の身体というものの奥深さや施術には多くの可能性があるんだとわかるようになってきました。

 

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