局所の重要性 ~症例40代女性3カ月続く腰痛~
「治療家」の肩書の人に多い「局所」を触らないで改善させる事が凄いという勘違い
今回は症例を踏まえて多くの施術者が勘違いしている事をお伝えしていきます。
何をお伝えするかと言うと「局所」をアプローチする事の重要性です。局所とは痛みを訴えているその場所という意味ですが、ここを施術する事は意味がない、もしくは「ダサい」と思っている施術者が多いのです。
特に「治療家」という肩書の人にその傾向は多いです。そういう方達は局所を触らずに遠隔の場所を触って治す事が凄いと思っています。例えば首の痛みを足で治すという事です。
しかしそういう発想は勘違いです。凄いのは患者さんの訴える症状をどれだけ改善できたかです。そんな遠隔で治せたから凄いのではありません。遠隔よりも局所を触った方が改善度合いが高いのなら局所を触るべきです。臨床は自分の技術のお披露目の場所ではありません。患者さんの苦しみを少しでも多く、そして早く取り除いてあげる事です。その思考回路を改善するべきです。
今回の症例はそんな局所のみ10分の施術で痛みがゼロになった症例です。
3カ月間鍼や整体に行っても治らなかった腰痛
<機序>
3カ月前にバイクに乗っていて転倒した。そのバイクを起こす時に違和感を感じた。翌日になり腰が痛くなった。
その後、痛みが引かず鍼治療や整体、カイロプラクティック等を受診したが一向に痛みが引かないまま現在に至る
<現在も続いている症状>
仰向けで寝ると痛くて寝ていられない。
長時間座った後、立ち上がる時に痛くて固まった感じがしてすぐに立てない。
MRI異常なし
<経過>
触診で局所(腰椎3番~5番の高さの右側脊柱起立筋の筋繊維の隙間)に硬結があり、その他全身に異常が見られなかったので局所へのアプローチ
これにより痛みが消失。以上で治療は終了。
4日後に来てもらったが、痛みがゼロになっているとの事だったので、腰痛に関する施術は行わずに肩こりや冷えの改善の治療に変更した。
局所の繊細な触診が改善の基準となる
初診時、この方の状態を診た時に触診では局所以外に原因が見られませんでした。そのため局所のみの施術で大丈夫と判断しました。
来院されるまで様々な所で治療を受けられていましたが、どこも局所を的確に判断し、局所を重要視した所はなかったようです。
しかし、実際は局所の治療だけで済んだのです。この様な症状は多くあります。もちろん局所だけで済まない症状も沢山ありますし、局所をしても意味のない状態もあります。
全ては局所の重要性を施術者が理解をし、そして繊細な触診で患者さんを診る事です。多くの施術者の触診が精度が低いです。もしくは触診を蔑ろにしています。検査も重要ですが、僕は一番重要なのは触診だと思います。触診でしかわからない事が沢山あります。可動域が良くても触診で異常がある事がほとんどです。
もっと蔑ろにしないで触診を磨くことをお勧めします。
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