中国医学を用いた手技療法の症例　子育て中の母親の頭痛と背中の痛み３０代女性

日常の子育てによる忙しさの疲労が溜まった事によるコリと痛みです。

ただ、この方の体質から様々な事が解ります。この方は生まれ持った体質の実証（陽気が多く元気な体質）が仇となり、激しい頭痛やコリの症状が起こったのです。
人は生まれ持った体質というのがあります。例えば冷えやすい、むくみやすい等。それらは活動のエネルギーである気の多さが大きく関わります。体内に気が多いと比較的元気で身体の不調も出づらいです。これを「実」の体質と言います。逆に気が少ない体質ですと日常的に疲れていたり、胃腸も弱かったりします。これを「虚」の体質と言います。

気が多かれ少なかれ、バランス良く気が巡っていれば実の人も虚の人も肩こり等の症状は出づらいのですが、疲労やストレスなどで気の巡りが悪くなると身体の気のバランスが崩れて症状が現れます。その場合
・虚の人は元来エネルギー不足ですからバランスが崩れやすいために、実の人よりも比較的直ぐに痛みやコリが出易いです。しかし、症状自体は実の人よりも強くはない傾向にあります。
・実の人は逆にエネルギーがある人なので多少の気のバランスの乱れには動じません。そして少し休息を取ればまたそのバランスの乱れもすぐに回復するので比較的コリや痛みを訴える事は少ないです。
しかしそんな実の人も気の乱れ方が大きく、許容量を超えてしまうと症状が出てしまいます。そしてその症状は虚の人よりも激しい症状となるのです。エネルギーが多い分、一旦症状が出ると激しい症状となるのが実の人の傾向です。

この患者さんの体質は正に「実」の体質です。日頃からコリ等をあまり訴えないで疲れても寝れば大丈夫だったそうです。しかし、たまに疲れやストレスが溜まり過ぎると酷い症状が出ていました。今回も３人の子育てが自分の許容量をオーバーしてしまったのです。
実の体質の方に陥りがちな状態です。なまじ普段元気なので、実体質の人は疲労を溜め込んで爆発させてしまう傾向にあります。