リラクゼーションも治療の大切な一つ
今、街を歩いているとたくさんの徒手業界のお店を見ると思います。マッサージ、鍼灸整骨院、整体、カイロプラクティック、リンパマッサージ・・・
何がどう違うのかとよく聞かれます。その質問にいつも困ってしまいます。資格、手技などのような表面上の違いだけを言うなら簡単なのですが。
また他にも当院は治療院で街で見かけるような所はリラクゼーション。という事も聞きます。
これにも内心困っています。当院自身も治療院と銘打っていますが、そういう区別は本当は違うなと思うのです。
僕は全ての徒手業種は「治療」だと考えます。その中の分類として「癒やし」、「リラクゼーション」も存在しているのです。治療もリラクゼーションや癒やしも全てを網羅していて、それらを適材適所に効果的に行うものだと考えています。
世間一般的には「治療=身体を変える。リラクゼーション=その場の癒やし、気持ちいい」という分け方だと思いますし、その趣旨によって店や院ができたり、エンドユーザーも使い分けたりしているのだと思います。
これは同業者ほどその境があると考えていると思います。その中の一部、特に有資格者は「リラクゼーション」や「癒やし」を見下している人もいます。しかし僕は「リラクゼーション」も使い方によっては立派な「治療」だと思っていますし、「治療=身体を変える」では改善しない状況もあります。
リラクゼーションや癒やしもニンゲンを変える上で重要なコンセプトです。ただし大事なことは「治療の中の一つの手段」としてリラクゼーションが施術者の身上に存在しないといけないのです。リラクゼーションだけしかできないというのでは本当のリラクゼーションでもないと思います。なぜか?それは受け手の体の状態を考慮せずに単にリラクゼーションをやっているからです。そんなモノが本当のリラクゼーションになる訳ありません。
例えば。僕の経験ですが、ミュージシャンの全国ツアーに帯同した時の事です。
ツアーのない日頃は、いい歌声を出すための体質を変える「治療」を行います。そしてツアー中、本番前のリハーサル前には「リラクゼーションに近い治療」を行います。一度心身の目を覚まさせてあげて、その日のバランスの状態を把握してもらうのです。リハーサル後の本番前はその日のバランスを微調整するための「治療」を行います。そして本番後の夜は「リラクゼーション」を行います。心身をリラックスをさせ興奮した精神状態を落ち着つかせ、より質の良い睡眠になるようにするためです。
このように一通りのルーティンでも使い分けはあります。しかしより大事なことはその上でツアーが始まると日々肉体や精神状態は変わるのでその状況状況によってルーティンには沿わない突発的な治療やリラクゼーションを組み込むことが多々あることです。
このように同じ人でも、その人を取り巻く環境や心身の状態によって施す内容は変わるのです。その人を取り巻く環境によってその人の疲労のタイプが変わりますし、精神状態によってもケアの仕方は変わります。
これはミュージシャンに限ったことではありません。一般の方も同じことです。来院してもらった時の肉体的精神的状況を把握し、何を施すことが一番ベストかを考えるのです。治療やリラクゼーションなどの色々な方法がないと、その人の今の状況に最適な施術は行えません。きつい言い方をすればこの業界の人達の信条として多い「体の不調で悩んでいる人達のため」というのはリラクゼーションだけしかできない人は、本当にはできていないのです。また逆に治療一辺倒ではニンゲンを無機質に見てしまい、ニンゲンの本質を見過ごしてしまう可能性もあります。
法律的なことで国家資格を持たない人や店は「治療」という言葉を使えないという縛りはあります。しかしそれ以上に今の業界は身体を変える技術がないから「癒やし」や「リラクゼーション」という言葉でごまかしているような意識の欠如している人達が多いのも事実です。
結局は「ニンゲンを見極める力」と何をするべきかという「状況によって物事を考える力」がこの業種の人達には必要なのだと思います。
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