三人の子供の母親の頭痛と背中の痛み ~様々な観点から身体を診る~
【ご案内】骨格調整やもみほぐしとは違う身体を改善させていく技術に興味をお持ちいただけた方へ
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セミナー開催日
11月26日 10時~13時
12月24日日曜10時〜13時
1月28日日曜10時〜13時
2月24日日曜10時~13時
セミナーの詳細はこちら。12月以降も申し込み受付しております。
↓
https://www.towatech.net/seminar/search_result/show/8272
また
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前回に引き続き、別の子育て中の母親の症例です。
生後三か月の赤ちゃんの他にも6歳と3歳のお子さんもいらっしゃる方です。
症状
4~5日前から首の強いコリ感と頭痛が起こる。身体も疲れていて疲労が取れない。
経過
その日の治療で症状は解消しました。
ポイント
日々の3人の子育てによる筋肉疲労の影響と精神的な影響、そして生まれ持った体質的な影響が頭痛や痛み、そして疲労感を引き起こしていました。施術ポイントとしては
・後頭隆起の骨
・脊柱~頸椎の隙間
・頭蓋骨のコリ
・棘下筋の裏側と上腕骨の周囲のコリ
・下肢の骨のコリ
以上が主なポイントになります。
これらのポイントに板の様なコリやグミの様なコリがありますので、それをひっかけるようにアプローチします。決して揉んだり押したりしてはいけません。指や手根等にフィットするようにひっかけるのみです。
抱っこや授乳の時などに腕から首に筋肉の強い疲労があります。その筋肉疲労によって腕の骨や首頭の骨の周囲にコリ発生してしまったために、この方は痛みや頭痛が起こっていたのです。
また肉体的疲労だけではなく、二人のお子さんの面倒や赤ちゃんの授乳などによる一日中休みがない精神的疲労によって、首から背中までの背骨や頭蓋骨にコリが出来てしまいました。そしてその精神的な疲労は内臓の疲労にも発展してしまい、疲労が取れない体になっていたのです。その内臓疲労を取り除くために下肢の骨に出来たコリをアプローチするのです。中医学の観点から人の身体を診た時、内臓の血行を良くするためには下肢の内側にある骨のコリを除去してあげるといいのです。
また中医学の観点から、この方の生まれ持った体質は上半身で気血が停滞しやすく、その停滞した気血のせいで頭痛や上半身のコリや痛みが出易いという特徴がありました。そのため、このような頭痛や首から背中の痛みが発生した場合は、下肢を施術する事で上半身に停滞した気血を下に降ろす事が出来るので、改善の度合いが何倍にもなります。
中医学の観点からの体質と言うのは、身体の陰陽という見方です。陰陽とは中医学の言葉で性質を表します。
陰とは「暗い、弱い、冷たい」という性質です。逆に陽とは「エネルギッシュ、明るい、熱い」という性質です。
女性は陰と陽で言うと陰の生き物です。しかし陰の中でも陽と陰の割合があります。100%陰、100%陽という事はありえません。つまりこの女性も陽のエネルギッシュな体質を多く持った方なのです。
陽の体質を持った人は、そのエネルギーが順調に回っていると調子がいいのですが、何かの理由でそのエネルギーが停滞した時、強いエネルギーが強い刺激となるので痛みや強いコリとして現れます。そして熱いという性質は上に上昇しますので、症状は上半身に表れやすいのです。つまり上半身の症状=頭痛や強い肩こりとなりやすいのです。だから下半身の方で気血の流れを良くしてあげれば、上半身で停滞していた気血が下に流れ出すのでその強いコリや痛みがなくなるのです。
この様に様々な観点から人の状態を診ていけば、単に筋肉の張りだけに留まらず、様々な施術方法が浮かんできます。これが出来るのは単に知識を知っているからだけではなく、その人の状態になりきれるから初めて出来るのです。
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