【富士登山翌日の野外ライブに向けたケア】 30代男性
公開日:
:
最終更新日:2013/10/27
症例・お客様の声
だいぶ以前の仕事ですが・・・野外ライブの本番前々日から富士山頂上へ登山を行い、ライブ前日に下山。翌日の本番に備えてのケア
治療と経過
この依頼を受けた時、正直「何してんですか!!」って思いました。ライブをやるだけでも体力的、精神的疲労は大きいのに富士山に夜通しで登るなんて。トレーナーとしては極力止めさせたいところ。
でも依頼があったのは登り始めた後。。。もうやるしかありません
幸いにも高山病にかかる事なく怪我もせずに下山できました。しかし夜通しの登山だったので身体が疲れ切っていました。翌日に疲労を残さないよう下山直後に治療を行いました。
治療後、1時間ほど仮眠してもらいました。起床後は身体が元気になったようで、みんなでやっていたバーベキューに参加。
翌日本番日。特にひどい筋肉痛や身体の疲労感を抱える事なく起床。朝の治療時の触診でも筋肉が適度な質感になっていてこれなら大丈夫だと確信。本人も大丈夫だと自信。見事普段通りに元気なライブが出来ました。
ライブのMCでもテンションMAXで「昨日富士山から下山してきました~!!」なんてはしゃいで、観客がビックリしていました。そりゃそうですよね。普通では考えられません(笑)
しかしケアしなかった同行者はバックステージで筋肉痛や疲労で目がうつろ、歩くのもやっとでした。(苦笑)
帰りの車中で「こんなに違うんですね」ってマッサージの効果を改めて感じていました。
僕としては本当に冷や冷やモノでした(汗)
診察
身体のコンディショニング管理を行いました。コンディショニングで大事な事はコリ物質(以前のコラム参照)の除去をするという事です。筋肉は極力揉まない事です。筋肉を揉むと筋肉が疲弊してしまい、逆に身体の疲労に繋がりパフォーマンスの低下につながります。特に運動後などで筋肉がパンパンに張っている時や筋肉痛が出ている時は筋肉を痛めてしまい、施術が逆効果になってしまいます。
僕も昔、その状況で筋肉を揉み過ぎてその方が38度近くの熱が出てしまった苦い経験がありました。もちろん揉み返しの可能性も高いです。
特にスポーツ選手やアーティストなどの筋肉は繊細です。一流と言われるような人になれば尚更です。彼らは感受性が高く自分自身の身体を見つめる能力(内観)も高いので自分の筋肉や身体の微妙な変化を感じとります。そのバランスが崩れてしまうとプレーや演奏に大きな影響が出てしまいます。
だからあくまでそのような人達の治療は身体のバランスを逐一感じ取りながらやる事です。
以前テレビでスポーツ選手のコンディショニングで毎日4時間もマッサージしているという映像がありました。まるでこれがすごい事で、こういう事が大事なんだというような内容でした。
しかしそんなに筋肉を揉んでは逆に筋肉が“ダレて“しまうと思います。この選手もひたすら揉まれる事に慣れてしまって筋肉の感覚が麻痺しているのかもしれません。そうなると脳から筋肉への伝達がコンマ何秒のズレを生じてしまって高いパフォーマンスができない可能性もありますし、逆に怪我しやすい身体になってしまうと思います。
また実際に見た人の話ですが、海外の某有名水泳選手は3人のマッサージ師が同時にパートを分けてマッサージをしていたそうです。
これも僕には疑問符に感じます。人間を完全に「モノ」だと思っています。人間は「無機質なモノ」ではありません。心がある「活きモノ」です。僕達の様な手技療法はお互いの心と心が通い合わないと本当の効果は出ません。治療家が受け手の身体を感じ取るのと同時に受け手も治療家の手技を感じ取る事が大事です。実際に筋トレも使われている筋肉を意識するのとしないのとでは効果が違います。だから一度に複数の人から触られると、受け手の意識が散漫になってしまって効果も半減してしまいます。
筋肉がほぐれればニンゲンの身体が良くなるわけではありません。心身ともにバランスが良くなる事が本当の良くなる事です。
ここで大事な事はコリ物質の除去による気血の流れを良くしてあげる事です。血液が身体に栄養を与えているので血液を少しでも多く身体に供給できるようにします。そして身体に溜まった老廃物を少しでも多く輩出してあげる。これが大事なのです。これには筋肉を一生懸命揉む必要はありません。コリ物質を除去する、そして身体を活性化するツボを治療する事で筋肉のバランスを崩さずに身体を良くすることができます。
またよく「筋肉痛の時はマッサージした方がいいの?」とか「運動後はマッサージした方がいいの?」と聞かれます。どちらもマッサージをすることをお勧めします。
運動後はなるべく早くやった方が効果は高く、翌日以降の筋肉痛の出方も全然違います。
筋肉痛になってしまった後ももちろん効果的です。しかしその場合は筋肉を揉み過ぎると炎症を起こしてしまいます。ひどいとその後、熱が出てしまい生活に支障が出てしまうので気を付けて下さい。
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