肩関節周囲炎 50代男性 ~肘関節が原因と状態把握の差が施術効果の差~
症状
特に原因がないが、徐々に左肩が痛くなって動かせなくなる
疼痛個所は上腕の前と後ろ
肩関節の可動域
外転90度
水平伸展ほぼ0度
肩関節90度外転位からの外旋、内旋共に約15度
経過
週一回の治療で6回目にはほぼ可動域が戻る
今後は運動療法も兼ね合わせる
ポイント
1肘関節の屈曲側の中央くぼみから外側にかけて盛り上がっている塊を指尖でひっかけるようにして除去
2三角筋前部の縁から肩峰の縁にかけて癒着があるので三角筋を剥がす
3肩甲骨の棘下筋と大円筋、小円筋の隙間に板の様な塊があるのでそれを指尖で引っかけて除去
1は以前のコラムでも紹介しましたが、肩関節の動きに制限や痛みがある場合、肘関節周囲にも原因があります。
「左腕が上がらない 関節の運動性を取り戻す」
肘関節は曲げ伸ばしに目が行きがちですが、実は上肢を捻じる運動の時の役割が大事です。
肘関節は前腕の二本の骨が上腕の骨と関節をなしています。この二本の骨が捻じれる事で日常の腕の様々な動き(服を着る、物を持ち上げる、歯を磨く、パソコン作業、等)がスムーズになるのです。
だから肩に異常がある時、肘の関節の状態を診ることが大事です。
この場合は肘関節外側周囲が固まっていました。それを筋肉の裏側から剥がして除去します。
2は肩関節自体が癒着してるために動かす時に痛みが起きているのでその癒着を除去します。
この時に大事なのは筋肉を揉んでも治りません。三角筋、上腕二頭筋の腱周囲、上腕三頭筋の裏側に引っかけるようにアプローチすることです。
3は上腕の後ろ側に痛みがある場合、ここが原因の事が多いです。
棘下筋と大円筋、小円筋の隙間に腕まで響くコリ物質(気血の停滞)があります。それをアプローチすることです。
大事なことはやみくもにアプローチせず、しっかり微妙な硬さの差を患者さんの皮膚から感じ取る事です。大雑把に触診してもダメです。ミリ単位での場所の把握と、グラム単位の方さの差を知る事です。施術効果の差はテクニックの数の差ではありません。目の前の身体の状態把握の度合いが効果の差になります。
また肩関節周囲炎はなかなか一度では完治しません。回数がかかります。しかし、しっかりと状態把握が出来れば半年、一年もかかるようなものではありません。また状態把握ができていれば、的確なアプローチをする事で上肢の筋肉が確実に緩んで、肘関節、肩関節の動きが改善するのがわかるので、自信を持って患者さんに接することが出来ます。
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